インターネットとテレビの試聴時間を年代別に視覚化。
円の大きさで時間を比較できるグラフを作成し、世代ごとの傾向を直感的に把握できるようにまとめています。
Art direction / Design / illustration : Ozawa Takuya
NetとTV1日平均何時間見てる?
参考データ
総務省情報通信政策研究所「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(概要)」5ページ「テレビ」「インターネット」「新聞」「ラジオ」の利用時間と行為者率(②)を参照。

データ選定と分析方針
本グラフでは、「テレビ」「インターネット」「新聞」「ラジオ」の4媒体のうち、年代別に利用傾向の変化が顕著であった「テレビ」と「インターネット」に着目。報告書内で黄色枠で示された結論を視覚的に伝えることを目的に、分析対象を絞り込んでいます。
制作陣の意図と注目ポイント
制作にあたっては、以下の2点をインフォグラフィックの主な着眼点としています。
1. 世代間で利用傾向が「反転」する構造
インターネットとテレビの利用時間を年代別に並べると、10代から70代にかけて利用時間が反転する動きが明瞭に見られます。この構造を視覚的に際立たせることを、グラフ構成上の主軸としました。
2. 若年層における利用率の微減と「意外性」
前年と比較して10~20代のインターネット利用率がやや低下しており、想定外の動きとして制作陣も注目しました。「SNS疲れといった影響かもしれない」といった推測を促すような余地を含め、本インフォグラフィックにおけるひとつのフックとして組み込んでいます。
採用した方法とその理由
採用グラフ
タイムクーヘン(創作)
数十分〜数時間のデータをコンパクトに視覚化するために創作したグラフ表現です。
時計の周期を基準とすることで、「感覚的に把握できる時間の長さ」として表現できることに加え、円の大きさによる直感的な比較も可能となっており、視認性と印象を両立しています。
採用フレーム
グリッド整理
「令和6年の利用率」と「前年からの変化」を1枚の中で整理・比較するため、グリッド構成を導入しました。視点の移動を最小限に抑え、情報同士の関連性を高める構成としています。
対立の関係
ネットとテレビの利用時間の変化が年代によって反転する特徴に着目し、この2媒体を対立構造として並べる表現方法を採用しました。
構造の分かりやすさと視覚的な印象を高めるため、スマホとテレビリモコンが向かい合うようなイラストを加え、見た人が直感的に関係性を理解できるように設計しています。
採用モチーフ
年代別アイコン
10〜70代それぞれの特徴を表すアイコンを制作各年代を的確に一つのアイコンで表すことが難しく、「アイコン+〇〇代」というセット表現にせざるをえませんでしたが、パッと見の世代間比較を印象付けるために効果的と判断し採用しました。
今回、不採用とした方法とその理由
不採用グラフ
棒グラフ
テレビとインターネットの利用時間が世代によって反転する特徴を表現するには適した表現であり、実際に検討を重ねました。しかし、「月刊インフォグラフィック」第一弾の発表として、より目新しさのある表現を優先したいという意向から、今回は見送りました。
ミラーバーチャート
ネットとテレビの対比が明確にできるグラフとして試作を行いましたが、本統計においては両者の数値がほぼ半比例的に変化していたため、形状が美しい平行四辺形になりすぎてしまい、意外性や動きの印象が薄れてしまうと判断。不採用としました。
時計型グラフ
「時間」というテーマには合致しており、検討に値する表現でしたが、円グラフに見間違われる可能性があるほか、ストップウォッチにも類似する印象が生まれてしまいました。また、数時間を表す場合に表示が煩雑になり、視認性が損なわれることから不採用としました。
アイソタイプチャート
時計のピクトグラムを並べて時間を表現する方法を試作し、最後まで検討を行いました。しかし、12時の位置で始めるべきか、開始時刻の統一方法などで迷いが生じ、また、時計針も経過時間に合わせて調整する必要があるなど、設計上の複雑さから不採用としました。
重なるドットプロット(創作)
ネットとテレビの並列棒グラフにて、2本の棒を少し重ねることで中間部分を活用する表現を試作しました。
特徴を視覚的に強調できる利点はありましたが、「このグラフはこう見せたい」という制作側の意図が強く出すぎるように感じたため、客観性を保つ観点から今回は不採用としました。
螺旋状時計グラフ(創作)
時計の周期という分かりやすいイメージと棒グラフ的な要素を融合し、螺旋状に配置することで時間の流れと拡がりを表現しようとした創作グラフです。
しかし、構成がやや複雑であり、静止画での表現では分かりにくい印象となったこと、繋ぎの線が装飾的に見えてしまったことから、今回は採用を見送りました。
不採用フレーム
タイムライン
各利用時間を横方向のタイムライン上に並べるという、シンプルで直感的な構成も初期案として検討しました。
しかし、指し示す時間に「継続性」や「蓄積」の感覚が見えにくいこと、また本テーマにおいては時間順よりも「年代別順」で整理した方が傾向が明確になると判断し、不採用としています。
模様塗り絵型
視覚的な目新しさを重視し、「模様の塗り絵」のようにグラフを構成する方法も試みました。
デザインとしての魅力はある一方で、読み取りにくいデータに置き換わると判断し、今回は不採用としました。
ただし、「正の字で5を数える」ようなアプローチを応用すれば、創作的なグラフとして再構成できる余地があると考えています。